心を整える鍵は「体」の感覚にある〜内受容感覚の秘密〜

「内受容感覚(Interoception)」を知っていますか?

心と体のつながり

心のコンディションを整えようとするとき、私たちはつい「考え方」や「メンタル」を変えようとしがちです。しかし、実はその鍵を握っているのは、脳ではなく「体」の感覚かもしれません。

最近、心理学や脳科学の世界で注目されている「内受容感覚(Interoception)」という言葉をご存知でしょうか?これは一言でいえば、「自分の体の内部で起きていることを察知する能力」のことです。

1. 私たちが持つ「内なるGPS」の正体

外の世界を知るための「五感」に対し、内受容感覚は、意識・無意識を問わず「体の内側」をモニタリングするシステムです。以下のサインはすべて内受容システムによる情報です。

  • 生きるためのサイン: 心臓の拍動、呼吸、空腹や喉の渇き、尿意。
  • 自律神経のサイン: 体温の変化、痛み、かゆみ、筋肉の重だるさ。
  • 感情のサイン: 緊張時の「胃のキリキリ」、不安時の「胸の圧迫感」、リラックス時の「体の軽さ」。

2. 脳にある「司令塔」:島皮質(とうひしつ)

この情報を一手に引き受けているのが、脳の奥深くにある「島皮質(とうひしつ)」です。全身からの情報を統合して「今の自分の状態」を判断する、脳内のコントロールパネルの役割を果たしています。

3. なぜ「体の声」を聴くことが重要なのか?

① 生き残るための「自動調整」: 生命維持(ホメオスタシス)の基本です。

② 「感情」は体で作られる: 感情とは、体の変化を脳が解釈したものです。感覚をキャッチできないと、自分の気持ちがわからなくなることがあります。

③ メンタルヘルスとの深い関わり: センサーが鈍すぎると「燃え尽き」やすく、鋭すぎると「不安症」に繋がりやすくなります。

4. あなたのセンサーは整っていますか?

内受容感覚は、トレーニングで整えることが可能です。

  • ■ ボディスキャン: 足先から頭まで、体の感覚をただ「実況中継」するように感じ取ります。
  • ■ 心拍モニタリング: 脈を測らずに鼓動だけで心拍数を予測し、後で答え合わせをします。
  • ■ 筋弛緩法: 力を入れてから一気に脱力し、その時の「じわ〜っ」とする感覚に意識を向けます。

まとめ:体と仲直りするために

「もっと頑張らなきゃ」という頭の声に対し、体は「もう限界だよ」と悲鳴を上げているかもしれません。「内受容感覚」を磨くことは、自分自身の最高の理解者になることでもあります。

まずは今日、深呼吸を一つして、胸やお腹がどう動くかを感じることから始めてみませんか?